民事信託
平成18年12月に信託法の改正が行われました。(平成19年9月30日改正施行)この信託法の改正でやっと訪米に並ぶ信託サービスの提供を日本でも行うことができるようになりました。
信託は商事信託と民事信託に別けることができ、商事信託とは信託銀行や信託会社が、受託者となり、営利を目的として不特定多数の者と信託契約を繰り返すもので、現状では日本における中心的な信託です。これに対して民事信託は、信託の受託者が限定された特定の者を相手として、営利を目的とせず、継続反復しないで引き受ける信託です。
民事信託の応用範囲は非常に広く、非常に有効的なのですが、宣伝されていないために信託法の改正後に十分な時間が経っているのに、残念ながら世間にあまり認知されていない状況が続いています。
一般的な“相続”の規定は、一般法である民法の規定ですが、信託法は特別法ですので、信託法が優先します。つまり信託法で規定されている民事信託を上手く使うことにより、民法規定ではできない相続を行うことができるのです。
弊社では、民事信託を上手く使うことにより相続対策の幅を広げています。
民事信託だからできる相続
- 自分の死後には妻に相続させて、妻の死後には、妻側ではなく自分側の甥や姪に相続させる。
- 遺産を分割して渡すことができる。
- 中小企業の事業承継
親から多額の財産を相続した人には、妻のみで子供がいないとします。当然、長年連れ添って、自分の世話を献身的に行ってくれた妻の老後のために十分な資産を残してやりたいと考えるのが一般的です。但し、民法規定では、妻に残した財産は、妻の死後は妻側の相続人に渡ってしまいます。自分達が夫婦二人で築いた財産ならいざしらず、自分が親から相続した財産ならば、妻の老後は気になるが、自分側の甥や姪に残してあげたいと考えるのが一般的です。しかし民法規定では、自分の死後に妻と甥や姪に分割で相続させるという方法しかではできません。妻は何歳まで天寿を全うするのか誰にもわからないのでどうしたら良いのでしょうか。妻に多く渡せば、妻の死後は妻側の親戚に残った財産は行ってしまいますし、少なく渡すと、妻が長生きした場合には、老後に惨めな思いをさせるかもしれません。
こんな時に有効なのが民事信託の一種である受益者連続型信託です。
信託設定後30年が経過した時点の受益者が死亡後、次の受益者までは指定することができて、最後の受益者が死亡した時点で信託が終了することになります。つまり最初の受益者を自分、自分がなくなった場合には妻、妻が亡くなった場合には自分の甥や姪を受益者として信託の設定を行えば良いことになります。
相続人となる妻が認知症であったり、子供に知的障害があったり浪費癖がある場合などは、被相続人の死後に相続財産が一時に入ると成年後見人に使い込まれたり、また自分で浪費をしてしまうことがあるので、分割して相続財産を渡す方が良い場合もあります。
このようなときにも有効なのが民事信託で、受益者に対して生活費を賄える程度の額を定期定額で渡すことが可能です。
中小企業のオーナーは、未成年の跡取りに事業承継させたいが、跡取りが一定の年齢に成るまでは、現在の自分の右腕である参謀役に経営を任せたいと考えている場合。
この企業オーナーと参謀役との間で信託契約を締結し、会社の株式を託します。信託契約では、企業オーナー自身が受益者となり配当等を受け取り、また議決権の行使の指図権者となること及び、オーナーの死後には、跡取りが受益者となり配当等を受け取り、また議決権の行使の指図権者となる旨を定めます。跡取りが一定の年齢になったら信託は終了し、確定的に株式を取得することができます。
ここでご紹介した例は、民事信託を利用した相続事業承継対策のほんの一部です。
お客様ファミリーの状況に応じて、民事信託を利用した相続事業承継対策案の作成をさせて頂いております。また、民事信託は税金面等を考えた場合には、一般社団法人や一般財団法人を受け皿として使うと非常に使いやすい信託です。
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